活動報告

神宮観戦記 対立教大学第二回戦


2-9の悔しい敗戦を喫した前日とは打って変わり、この日は淡青の美しい秋晴れに始まりました。悲願の「奪出」の最後のチャンス。負けられない試合に、硬式野球部も応援部も闘魂を滾らせて臨みました。

 応援席も温まってきた所で、1回表。大事な最初の攻撃回、四球で出塁しますが、残念ながら抑えられてしまいます。先発としてマウンドに立ったのは、この試合、引退の懸かっている四年生の鈴木健投手。緊張と期待の一球目は、しかし捉えられ、ピッチャーの足元を抜かれてしまいました。その後何とかツーアウトまで持っていくものの、走者2・3塁と追い込まれます。続く立教大学の5番打者。何としてでも抑えたい所でしたが、またしても一球目を返され、2点先制されてしまいます。いきなりの苦しい展開ですが、「タケル」コールを一身に受けた健投手、そこは意地でツーストライクまで追い込みます。応援席も、今度こそと、更に熱量を上げ、全力で「チェンジ」を叫びます。しかし、惜しくも想い及ばず、立教大学の斎藤選手に上手くライト線に運ばれ、追加点1点を含め、結果としてこの回3点を許してしまいました。その後も東大打線は振るいません。主導権を握られ敗北してしまった前日の記憶もちらつき、重い空気が流れ始めます。

 が、そこで流れを自力で切ってきたのは健投手。すぐに持ち直し、2、3回を無失点に抑えると、3回表で自身も初球でヒット。残念ながらこの回は得点には繋がりませんでしたが、続く4回で東大打線がついに突破口を作ります。ツーアウトに追い込まれながらも、四年生の3番別府選手、5番和田選手が安打で走者一二塁のチャンスを作ると、6番内田選手(三年)が外のストレートを見事にセンターにはじき返し、2塁ランナーがタッチの差でホームイン。「ただ一つ」で応援席も一気に盛り上がります。1点を返し、尚も二塁のチャンスに、神宮球場に高らかに響くのは応援歌「不死鳥の如く」です。元来、神宮球場の座席は青色でありますが、更にメガホンと淡青タオル、応援部Tシャツによって淡青に染め上がったスタンドの様は、透き通った空色も相まって、大変胸にくるものがありました。

 続く七番矢追選手(四年)もワンボール、ツーストライクから難しい変化球をちょこんと合わせ、鮮やかなタイムリーで2-3の1点差まで詰め寄ります。本日2度目の「ただ一つ」。東大サイドは勝利への期待に、どんどんボルテージが上がっていきます。流れを掴みたい東大。4回裏、走者一塁でまさに「あれ」の出番。「ゲッツー」コールに、今度こそ、選手たちは見事に応えてくれました。鋭い良い当たりでしたが、ピッチャー強襲のライナー、そしてゲッツーとなります。

 そこから両校は拮抗します。一刻も早く追加点を挙げて安心したい立教。意地でも逆転しようと全身全霊で追い縋る東大。東大は、5回、6回と得点圏にランナーを置きチャンスを作りますが、いずれも相手投手に粘られて得点には繋がりません。一球毎に嘆息や歓声が上がり、応援席は次第に呼吸をも一つにしていきます。

 6回裏、ツーアウト二塁の状況で、初回にタイムリーを放った6番斉藤選手がセンター前ヒット。前日も魂のスライディングキャッチを魅せた別府選手が、強肩を活かし、ノーバウンドでホームに送りますが、僅かに間に合わず、追加点を与えてしまいます。続けて次打者にも長打を打たれてしまいますが、これはレフトの矢追選手が倒れ込みながらキャッチする好プレー。それ以上の追加点を許しません。

2点ビハインドとなってしまった東大。7回ツーアウトながら別府選手が二塁打で出塁し、四番大井選手がレフトへ鮮やかに流し打つも、レフトからのこれまた同じノーバンド返球で本塁タッチアウト。六回の東大と全く同じピンチの状況を、無得点で切り抜けた立教に、主導権が握られていきます。

ですが、これまで幾千の敗戦を経てきた東大は、それでも最後の一瞬まで希望を捨てる事はしません。9回、応援部四年にとっても最後となる「闘魂は」エンドレス。あらん限りの力で振り、歌い、演奏します。そんな中で、代打・主将梅林選手。今季初勝利した法政戦と同じ流れに、応援の声は最高潮に達します。

しかし、あと一歩、あと一歩届かず。梅林選手は空振り三振。続く酒井捷選手(二年)も低めの球を打つも二ゴロに終わり、三者凡退で試合は終了。最終スコアは2-4でした。

この試合により、東大の単独最下位が決定し、今年度硬式野球部の目標であった「奪出」は、残念ながら叶えられませんでした。TEAM2023による挑戦は、ここで一区切りとなりますが、来春以降も東大硬式野球部は、六大学野球に挑み続けます。来年こそ、勝ち点獲得出来るよう、私共応援部も全力で「挑戦」して参りますので、何卒、応援の程宜しくお願い致します。

チアリーダーズ一年 佐竹美樹