淡青旗
昭和22年10月、東京帝国大学は東京大学と変更された。
東京、京都、北海道、東北、名古屋、大阪、九州の七帝国大学は、すべて「帝国」の名称をはずし、新しい自由の時代の学問の府に塗り替えられた。
だが、野球部のユニフォームと応援旗はTIUで、ImperialのIが入ったまま。野球部も応援部も困ってしまった。物不足、金不足の時代に、すぐに全員のユニフォームを新しくつくり直すことなどできない。「模様と考えればよい」という苦肉の策で、そのまま使うことにした。しかし、スタンドなど外部からの風当りが強く、Iの字を白い布を縫いつけ隠して使用することになった。だが、デザイン的にはまったく様にならない応援旗で、見るに見かねたTIU旗を寄付した野球部の父兄が、また新しい応援旗を新調して寄贈してくれた。新しい応援旗は、白地にライトブルーで帽章の「大學」を浮き上がらせたデザイン。現在の淡青旗の原型となった。
ライトブルー=淡青は東大のスクールカラーである。その期限は大正5年に遡る。この年、イギリスのオックスフォード大学とケンブリッジ大学のボートレースにならい、東京大学と京都大学の漕艇戦を行うことになった。本家の英国にあやかって校色を決めることになり、抽選の結果、東大がケンブリッジの淡青、京大がオックスフォードの濃青に決まった。それ以来、東大のスクールカラーがライトブルーになったのである。
この旗が東大学生席に翻る姿を歌った、『ただひとつ』が、昭和22年度の入選応援歌となり、後にエール交換用の歌として採用された。