活動報告
神宮観戦記 対慶應義塾大学第一回戦

10月4日、秋の訪れを感じさせる、冷たい小雨が降りしきる明治神宮野球場。スタンドには静かな緊張と期待が漂う中、対慶應義塾大学第一回戦の幕が開きました。
先発マウンドに上がったのは、今季4登板目で今季初の先発登板の松本慎之介投手。試合前の時点でリーグ3位の防御率0.96をマークしていた彼に、応援席の期待は高まります。
1回表慶應義塾大学の攻撃では、今津選手がセンター前ヒットで出塁。その後、犠打で走者を進められ、常松選手のタイムリー内野安打で1点を先制されてしまいます。それでも松本投手は大崩れすることなく、後続を抑えてこの回を最少失点で切り抜けます。
1回裏、東京大学は秋元・樋口・中山選手の上位打線で反撃を狙いますが、慶應義塾大学の先発・渡辺和大投手の伸びのある直球に押され、なかなか出塁の糸口を掴むことができません。試合は両投手のテンポ良い投げ合いで進み、2回は両チーム無得点。守備では青貝選手が堅実な守りを見せ、試合のリズムを取り戻します。ベンチや応援席からは「ここから!」と声が飛び、雨天特有の重たい空気の中、投手戦の様相を呈していました。
3回表、慶應義塾大学の渡辺選手の放ったサードゴロを、青貝選手が見事な守備でさばいてアウトを奪います。その後も、松本慎之介投手が二段モーションと多彩な変化球を巧みに操り、慶應義塾大学打線を苦しめました。東京大学も明石選手のライトへのヒット、松本選手の犠打とつなぎを見せ、チャンスメイクをするも、惜しくも得点には至りませんでした。
試合が大きく動いたのは4回裏。まず樋口選手がレフト前ヒットで出塁。続く中山選手もライトへのヒットで一、三塁と好機を演出します。続く大原選手の打席。中山選手が盗塁を成功させ、さらに大原選手がフォアボールを選び、無死満塁の大チャンス!この場面で青貝選手が押し出しのデッドボール、まず1-1の同点となります。応援席から「イントロビクトリー」が響き渡る中、さらに明石選手が満塁から走者一掃の鋭いタイムリーツーベースを放ち、4-1で勝ち越します。その後、既に三塁まで到達していた明石選手が、松本選手の打球の間に見事生還。東大がこの回に一挙5点を奪取して逆転に成功します。雨上がりの重苦しさを吹き飛ばすような集中打。応援席が一体となって「ただ一つ」を歌い、ビッグイニングで大きなリードを作った東京大学が試合の主導権を握ります。
5回表、慶應義塾大学は代打森村選手、代打渡辺憩選手らを投入。渡辺憩選手にフォアボールで出塁されるも、松本投手の粘りのピッチング・守備陣の好守備によってこの回を守り切ります。
5回裏、渡辺投手に代わってマウンドに立った坂中投手に対し、1番秋元選手がツーベースで出塁するも、惜しくも追加点とはなりませんでした。
6回表、投手交代で東京大学は松本慎之介投手から佐伯豪栄投手へ継投。押し出しで慶應義塾大学に1点を返されるも、佐伯投手からバトンを受け取った江口直希投手が冷静な投球で流れを渡さず、一死満塁のピンチを最少失点で切り抜けます。守備では中山選手と樋口選手が好プレーを見せ、東京大学のリードを守りながら試合を進めました。6回裏、慶應義塾大学は坂中投手から、4年小川琳太郎投手に交代。ここまで大活躍の明石選手もバッターボックスに立ちますが、この回は無得点に終わってしまいます。
7回表、一死一二塁で出塁されるも、東京大学の守備陣が踏ん張り、無失点で切り抜けます。
7回裏、酒井選手がセンターへのヒットで出塁、続く秋元選手の打席で盗塁を成功させるも、相手投手を捕らえきれず得点ならず。
8回表冒頭、7回を守り切った江口投手からブルペンで待機していた渡辺向輝投手へと交代。この回も無失点に抑えてくれました。
8回裏、4番・伊藤滉一郎選手がツーベースヒットで二塁へ。その後青貝選手がフォアボールを選び出塁、二死一三塁で再び東京大学にチャンスが訪れました。続く明石選手、フルカウントから、チャンスをものにするセンターへのタイムリーヒットで快音を響かせます。三塁ランナーが生還し、ダメ押しの1点を慶應義塾大学から奪うことに成功しました。
最終回9回表、意地を見せたい慶應義塾大学は、渡辺憩選手のレフトスタンドへのソロ本塁打でなんとか1点を返しますが、反撃はここまで。この試合タイムリーヒットを打っている常松選手を討ち取る、樋口選手のファインプレー。最後は、昨年の対法政大学第二回戦で完投勝利を挙げている渡辺投手がしっかり締め、試合終了。
東京大学が6対3で見事勝利を収めました。
356日ぶりの東京六大学リーグ戦勝利を掴んだこちらの試合。怪我により離脱を余儀なくされた主将・杉浦選手に代わり、キャッチャーを託された3年・明石選手が攻守にわたり大活躍を見せました。リードで投手陣を支え、満塁の場面では走者一掃のタイムリーツーベース、そしてダメ押しのタイムリーと、まさに勝利の立役者となりました。
そしてこの日、先発の2年・松本慎之介投手が見事な投球を見せ、リーグ戦初勝利を飾りました。その姿は、東京大学硬式野球部の未来を感じさせる頼もしさに満ちており、チームの“逆襲”への確かな足がかりとなりました。
試合後、応援席では杉浦選手が涙を浮かべながら仲間たちの健闘を見つめる姿があり、その光景に多くの方々が胸を熱くしたことでしょう。主将の想いが確かにグラウンドに息づき、チーム全体がひとつになって掴み取った勝利だったと思います。
秋季リーグ戦もいよいよ折り返しを迎えました。ここから改めて始まる東京大学硬式野球部の“逆襲”に、我々応援部一同、全力の声援で力を添えてまいりましょう。
チアリーダーズ二年 石上清香
